石はら 世田谷本店
自家製粉、手打ちへのこだわりと、多様なニーズに応える柔軟性を併せ持つ人気そば店
フードビズ編集部
世田谷通り沿いで存在感を感じさせる外観。子供連れから若いカップル、年配者まで幅広い客層を集客している。
東京・世田谷の住宅街を控えた商店街にあるそば店「石はら 世田谷本店」は、玄ソバからの自家製粉や手打ちにこだわりながらも、地元の幅広い客層のさまざまな要望を受け入れる姿勢をもつ人気店である。オープンは2001年11月1日で、当初は現在地からほど近い場所の11.5坪18席の店舗でスタートした。
しかしながら、ビルの建て替えに伴い、2008年4月までで旧店舗を閉め、翌5月から現在地に移った。現店舗は21坪32席で、約2倍の規模となり、店内の照明はやや落とし、塗り壁と重厚感のある木のテーブルや椅子で、落ち着いた趣を醸し出している。低めのカウンター席のほか、2人がけ~8人がけの多様なテーブルを配し、1人でもグループでもゆっくりと利用しやすいように配慮している。
移転を機に、石臼を導入して自家製粉を開始した。現在は、契約農家から玄ソバを仕入れ、石抜き、磨き、脱皮なども店内で行なう。2台の石臼を使い分け、せいろ用と、田舎そば用の2種を製粉している。せいろ800円は小麦粉を1割加えて打ったもので、ほか、小麦粉を2割加えた二八せいろ800円、玄ソバから殻ごと挽いたそば粉に小麦粉を2割加えて細打ちにした田舎せいろ900円の計3種を打っている。1人前に生麺で150gを提供しており、ボリューム感もある。
また、冬には『鍋焼きうどん』などのうどんメニューもよく出るし、天丼、親子丼などの丼ものも揃えている。平日のランチタイムは、そばと小丼ぶりを注文すると小丼ぶりが100円引きになるサービスがあり、土日祝日は昼夜通しで営業するなど、地元のお客のさまざまなニーズに応えている。
「商品力だけではなく、利便性や付加価値をつけないと、お客さまには愛されないと思うのです。何でもできるよ、何でもやるよというキャパシティをもち、お客さまのわがままにどれだけ応えられるかが商売だと私は思っているのです」
と、店主の石原せいじさんは語る。
また、旧店舗のときは夜は酒類があまり出ず、夜8時に閉店していたが、移転後は酒類と酒肴を楽しみ、最後にそばで締めるお客が増えてきた。そのため、現在までにアルコールメニューを約50品目に、酒肴や一品料理も約50品目に増やし、営業時間も夜12時までに延長してきた。夜は酒類の売上げが約25%を占めるようになっている。客単価は、昼は平日が1,100円、土日祝が1,600円、夜は3,000円となっている。
チャレンジ精神と縁を生かし、3店舗体制を実現
せいろと田舎せいろを盛り合わせた二色せいろ1,100円、東京・町田の生産者から仕入れる鶏卵を使った小林さん家のだしまき玉子 卵3コ750円、石はらのぬか漬けとおしんこ盛合せ500円。
石原さんは1966年東京・世田谷生まれで、もともとそばが好きだったが、25歳のときにそば打ち名人たちの技術を紹介した本と出合い、そば打ちに興味を持つようになった。自分の手でつくるもの、できるものを探していた石原さんは、陶芸やガラス細工なども手がけたが、工芸作家として生計を立てる難しさを実感し、そば打ちならできるのではないかと考えるようになった。そこで、運送会社に勤務しながら、5年ほどそば店を食べ歩いたり、そば教室に参加するなどの準備期間を経て、30歳で勤務先を辞し、八王子の有名店「車家」で3年間の修業を積んだ。独立に当たっては、実家にも近い世田谷で物件を探した。
チャレンジ精神旺盛な石原さんは、2009年12月に調布市仙川町に2号店の仙川店、今年7月1日に川崎市宮前区に3号店の宮崎台店を出店した。現在は、3店分のそばを本店で打ち、両店に1日2回ずつ配送している。そのため、本店で打つそばの量は、土日祝日ともなると1日に500~600食分になる。
「3号店の宮崎台店は、まだオープンしたばかりで、広告宣伝もしていないのですが、本店や仙川店と同様に、きちんと利益が出るようにしていきたいです。今後も安定は求めずに、常に新しいことに挑戦していきたいです」
と、石原さんは力強く語っている。
石はら 世田谷本店
- 住所
- 東京都世田谷区世田谷1-11-16
- TEL
- 03-3429-6227
- 店舗規模
- 21坪32席
- 営業時間
- 11時30分~15時30分(15時L.O.)、18時~24時(23時30分L.O.)、
土日祝11時30分~24時(23時30分L.O.) - 定休日
- 第3火